甘々王子にユウワクされて。


いつの間にか席に戻っていた木林くんからかけられた、明るい声。


「俺、前回よりかなり良かったんだよ! 結羽のおかげだよ、ありがとう!」



そう言って出してきた成績個票と、空っぽの左手。


もしかして……トレードしようってこと?


見せて、って?




正直高槻くんの視線が気になったけれど、あまり言葉を交わさないように無言で受け渡しをした。


半分に折られた個票を広げる。



……すると。



「……!?」



現代文、古典、数Ⅱ、数B、物理や化学や日本史世界史なんかも全部。


英語だけをのぞいて、本当に全部。



彼は学年1位をとっていた。



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