甘々王子にユウワクされて。


……他にも、幼なじみがいるんだ。


もしかしたら高槻くんの兄弟とかかもしれない。



そう思ってあまり気にしないようにし、二人についていく。


会議室には数組の男女がどうしたらわからないような様子で室内に点々と立っていた。




「あ、ごめん、窓際1番前が1年1組で、順番に座っていって!」



プリントを前の教卓に置いて、教室中に呼び掛ける楓さん。


さらにその旨を黒板の端に記入した。



となると、わたしたちは2年9組だから真ん中の一番後ろだ。


高槻くんがまっすぐそこに向かうので、わたしも慌てて楓さんに会釈をして彼を追いかけた。


こんな、知らない人がたくさんいる中で一人になるのは……心細い。


なんとなく同じ立場の人と一緒にいたかった。



彼は席に着くとすぐにポケットからスマホを取り出し操作する。


わたしはただ一人、楓さんが立ち働く姿を眺めながら話が始まるのを待っていた。


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