甘々王子にユウワクされて。
「俺、お化け屋敷やりたい!」
どんよりとした空気が流れていた教室を、一瞬で切り替えた明るい声。
発言とともに立ち上がってこちらに歩いてくる彼は、他でもない木林くん。
わたしのところまで歩いてきて、耳元で囁いた。
「ごめん、俺が出るとまた女子から反感買うかもしれないけど。
もうこれ以上黙ってらんなかった」
今までのHRでもずっとこんな空気だった。
木林くんも興味ないように男の子たちと話していた。
だけど……そんな考えていてくれていたなんて。
少し頼ってしまおうか、なんて思っちゃう。
「お化け屋敷楽しそうじゃね!? 王道な感じにしてさ。
仮装とかやろうよ。坂場とかさ、サキュバスの仮装とか似合いそう」
「やっだ侑心くんったら」
うまくリーダー格の子をひっかけて、話をスムーズにさせる彼。
これが俗に言う、カリスマ性ってやつなんだろうか。