甘々王子にユウワクされて。
「楽しそうだね、暗幕張って真っ暗にしてさ」
「机とか使って迷路にしようよ!」
教室が、明るくなる。
彼が指揮を執った瞬間、空気が変わる。
と同時に、自分がひどく惨めに感じた。
プリントに"お化け屋敷"と記入し、木林くんに小声で話しかける。
「……すみません、プリントを提出してきます。この場頼んでもいいですか。
たぶん……わたしよりも木林くんのほうが、うまくまとめてくれると思うんで」
実行委員でもない彼にこんなこと頼んで、ただの甘えだ。
恥ずかしくなる。
だけど彼は。
「もちろん! 俺に任せて」
そう言ってわたしの頭を少し撫で、またみんなの前で話し始めた。
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