甘々王子にユウワクされて。
彼の言葉を聞いて、恐る恐る胸元に手をやると。
いつも通りの、白ブラウスの胸ポケットの感触。
そこに連日遅くまで残って作ったリボンなんてなくて。
「ど、どうして……!? 楓さん確かに450本リボンを発注したと言っていたのに」
「でもまぁ俺たち別に900本リボンを作ったかなんて数えてないけどね」
「だけど……!」
どうしよう。
実行委員主催のこの企画、実行委員のわたしたちが参加しないなんてやはりよくない。
そう、戸惑いつつも考えていたそのとき。
「結羽ちゃん、あっきー、お疲れー! 終わった?」
背中のほうから聞こえた、明るい、鈴の鳴るようなかわいい声。
それがわたしには女神の声のようにも聞こえた。
「楓さん……!」
すがるようにして振り返る。