甘々王子にユウワクされて。
そう思っていると、楓さんが、ちょっと待っててと神妙な顔をしてどこかへ走り出した。
「……HR、始まりますけど……」
「実行委員特権ってことで、いいんじゃない?」
ぽつんと取り残されたわたしが呟くと、気だるそうに応える高槻くん。
そう、なのかなぁ……。
そして沈黙のまま数十分。
だんだん高槻くんとの沈黙も慣れたのか、苦じゃないな、と思っていたとき。
楓さんが息を切らして帰って来た。
「……ごめんっ!!! あたしのミスだ!」
ばっと、90度に上半身を折り曲げて。
手には謎の小さなビニール袋をぶら下げて。
わたしは突然のことに呆然とするしかなかった。