甘々王子にユウワクされて。
そして彼の手に乗せられて出てきたのは、2つのリボン。
ここ数日間よく見た形、というか、作っていた形。
飾りとして各々つけられた白と黒のボタン。
ただそのリボンが、わたしたちが作っていたようなカラフルで柄物のそれとは違って、赤無地のサテン生地。
その布は、普段女子が制服の胸元で結んでいるのと同じもので。
その形も、わたしたちが作っていたよりも少し不格好なもので。
楓さんはすぐにネタ明かしをしてくれた。
「……購買に制服のリボンなら売ってるの思い出して、今超特急で作ってきて……。
本当に申し訳ないんだけど、それで許してもらえないかな……」
相変わらず頭を下げたまま、ちらちらとこちらの様子を窺う楓さん。
可愛い上目遣いにきゅんとする。
「もちろんです……! むしろありがとうございます、作っていただいて!」
ぱっと高槻くんの手からリボンを奪って左胸につけて、ほら、と彼女に見せてみせた。