甘々王子にユウワクされて。
そうすると楓さんは、口調を改めて言ってきた。
鞄もきちんと置きなおして、正面からわたしに話しかける。
「……あたしはね。結羽ちゃんには話すべきだと思うの。もうここまで巻き込んでしまったんだし。
あっきーには反対されたけれど……でも結羽ちゃんも、あんなこと聞いちゃったら知りたいでしょう?」
どきどきと心臓がうるさい。
話すべき、こと。
それが何かはわからないけれど、頷いてしまったわたし。
知りたいと思った。
木林くんにどうしてわたしが悪影響を及ぼすのか。
木林くんの、ことが。
知りたいと思ってしまった。
楓さんはそんなわたしを見て、優しく微笑んだ。
「……それじゃあ、ちょっとだけ昔話をするね。
あたしが中3、侑心たちが中2だった時の話……」