甘々王子にユウワクされて。
そう、彼女が話し始めたとき。
「楓。……待って」
静かな声がドアのほうから響いた。
驚いた、いつの間にドアが開いていたんだろう。
そこに立っていたのは、数時間ほど見かけなかった彼。
「……高槻くん」
帰って、きたんだ。
こんな時間になっても、ちゃんと。
「あっきーごめん、あたし……」
彼に気づいた楓さんが立ち上がって彼に走り寄り、伏し目がちに話す。
「あっきーには言うなって言われてたけど、やっぱり結羽ちゃんには話したくて……」