甘々王子にユウワクされて。
だけど彼は楓さんを責めたりすることなく、ただうなづいただけだった。
「……わかってる。楓なら、そうするだろうとも思ってた」
そう言って、何か小さな紙きれを楓さんにわたす高槻くん。
それに目を通した楓さんは、一瞬で表情を曇らせた。
「副会長にさっき会った。楓に渡せって」
「……中夜祭閉会の挨拶……やれって」
そうだ今は中夜祭真っ最中。
楓さんはお仕事もあるだろう。
「ごめんじゃああたしは行くよ……。
……大丈夫?」
「あぁ、俺から話すから。……それに、」
そう言うと、高槻くんはわたしのほうにまっすぐと歩いてきて。
「俺たち今夜、一緒に過ごさないといけないから」
わたしの左胸についたリボンを軽く引っ張って、少しいたずらっぽく笑ってみせた。
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