甘々王子にユウワクされて。
「え……っと、どちらに……?」
そうわたしが聞くと、それと同時に真っ暗になる視界。
後ろから、何か男子生徒が叫んでいるのが聞こえる。
「な、なんですかここ!? 真っ暗……!」
急に暗い所に連れられて、つかまれていた手から腕を探ってそれについしがみつく。
「部活の後輩のクラスの出し物で、確か暗闇の迷路的なの。
ごめん、暗いとこだめだった?」
「いいえ、そういうんじゃないですけど……」
目が慣れてくれなくて、全然あたりが見えない。
暗所恐怖症とかではないのに少し怖くて、しがみついた腕から離れられなくなってしまった。
「ごめんね、周りの目を避けようと思ったらこんなのしか思いつかなかった。
まぁ、結羽に腕組んでもらえるならここ来て正解だったけど……」
「……からかわないでください」
あぁもう、腹立たしい。