甘々王子にユウワクされて。
「……坂場さん」
わたしはその幸せを噛みしめて、ゆっくり一人で前に進んでいった。
坂場さんたちのグループに睨まれるけれど、ひるまなかった。
「坂場さんや皆さんは、言うまでもないですけど、比べようもないほどわたしより可愛いし人気者です。木林くんには、貴方たちみたいな人のほうが似合うと思います」
本心、そして事実。
それを伝えると、坂場さんが不思議そうな顔をしてにらんできた。
「それでもわたしは木林くんを好きになってしまったし、木林くんはわたしを好いてくれた。
だからわたしは……わたしなりに、木林くんに釣り合うような彼女になるように精いっぱい努力します。ですので……」
「……いい。聞きたくない」
わたしの言葉をさえぎって立ち上がり、背を向けた坂場さん。
……やっぱり、坂場さんには伝えられないのかな。