甘々王子にユウワクされて。


そう、残念に思った瞬間。



「……前髪上げてたほうがかわいい」


「……えっ?」



歓声の中、消えそうなほど小さい声が聞こえた。



「そうしてたらかわいいんだから、自分を隠さないで。
 侑心くんのためにも……かわいくしてて」



そして人ごみの真ん中を突っ切ってどこかへ行ってしまった彼女。


わたしの、ために……言葉をくれた。



「結羽大丈夫? 何か……」



心配そうに駆け寄ってくる木林くん。


そんな彼に笑顔で振り向く。



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