甘々王子にユウワクされて。
「だけどお陰で、花火見損なっちゃうとこでした」
少しふくれて言う。
だいぶ呼吸も落ち着いたし、怒ってるよ、とでも言うように手を振り払った。
「あれ結羽もしかして、ジンクス信じてるの?」
「そ、そんなんじゃ……」
からかわれて、そっぽを向く。
そんな女の子っぽいの、どうせわたしには似合わないし。
「ごめんごめん! こっち向いて。ほら」
いつの間にか窓際の本棚に腰かけた木林くんが手招きする。
本棚に座るなんて……と思ったけれど、その誘いに抗えなくて隣にもたれかかった。
花火がどんどん打ちあがる。
逃げに逃げたせいで、もうラストの勢いだった。