甘々王子にユウワクされて。
ゆうひの両親と楓は今向かってるところだ、なんて会話を聞き流しながら、わたしは彼女の顔から目が離せなかった。
その顔は……侑心くんや高槻くんが戸惑うのも仕方ないほど、わたしに似ていたから。
わたしよりも長い髪をまっすぐ下して、ただただ眠っている。
「さっき確かに目を覚ましたらしい。だけど、少し会話をしたら……また眠ってしまった。
だけど先生が言うには、ただ体と頭のギャップが大きすぎてショックを受けただけだから……すぐまた目を覚ますだろうって」
高槻くんが強張った声で説明してくれる。
わたしも思わず背筋に力が入った。
「ゆうが……目を、」
起き上がった証拠ともいえる、少しめくれた布団。
それを丁寧にかけなおして、愛しそうに顔を撫でる侑心くん。
その行為にわたしは恋愛のような情はないことにすぐ気づいた。
まるで兄が妹を大切に思うような、
家族愛に近しいものだとわたしは感じた。