甘々王子にユウワクされて。
い、いけない、見とれてちゃ。
わたしは慌てて画材とクロッキー紙を取り出す。
わたしの好きな、鉛筆を紙に走らせる音が聞こえない。
こんな騒がしい場所で彼は毎日あんな楽しげにバスケをやっているんだ。
顧問の先生に休憩時間を言い渡されても、友達とシュートを打ちあうしまうまさん。
……どれだけバスケが好きなんだろう。
楽しそうに、一本も外すことなくシュートを決めていく。
何だかそんな彼を見ていたら、
わたしも描いてて楽しくなってきて。
クロッキー紙みたいな薄っぺらい紙になんて描いていたくなくて。
画用紙を取り出して、それにもう、構図なんて何も気にせず。
本当にただ思うままに描いていった。
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