甘々王子にユウワクされて。


「え、あ、そうなの。ごめん。
 えっとじゃあ……明日でも、いつでもいいんだけどさ。俺に英語教えてくんない?」


「英語?」



明日の放課後も、できれば先輩と話すチャンスをうかがいたかったんだけどなぁ……。



「そ、俺なぜか英語と相性悪くてさー。いつも赤点とかなの。
 でも今回赤点取ると、補習で次の試合出れなくなるって言われて。それはまずいなーって。
 今までは補習と試合かぶったことなかったんだけどねー」



赤点って……この人かなり頭弱いんだ。


それなのにこんな軽く言って、危機感ないのかな。



ちら、と時計を見ると、もう全力で走らなければ次の電車には間に合わない時間。


駅まで歩いて15分、そんな道のりをわたしが走りきれるわけがない。



はぁ、と深いため息をついた。



「……わかりました。今日も、いいですよ」


さすがに、もう間に合わないんで、は言うと嫌味ったらしくなるからやめておいた。


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