甘々王子にユウワクされて。
わざとらしく最後にもう一度名字を呼んでみたところ、彼は情けなく笑った。
「まぁいいかっ! 前進はしたってことで」
片足を上げて器用にかかとに指を引っ掛ける。
くいっとローファーを綺麗に履いてみせた。
「あれ、勉強ってどこでするんですか?」
勉強と言えば学校、のわたしが疑問に思って聞く。
「えー? そこのハンバーガーショップでよくない?」
「ファ、ファストフード店で勉強!?」
……そんな騒がしいところで。
そもそも他のお客様の迷惑になったりしないの?
でもさらっと言った木林くんは、むしろわたしを不思議そうに見た。
「あれ結羽もしかして、そういう経験ない?」
素直にうなづく。
まずテスト勉強をしないわたし。