甘々王子にユウワクされて。
だけどその耳鳴りの中、一瞬だけ捉えた音。
「……結羽!!」
そう叫ぶ木林くんの声と、彼が駆けてくる音だった。
そして、わたしの肩を支える。
「結羽……その、」
しどろもどろになって言葉を探す木林くん。
目線があわただしく動く。
呆然としていると、鈴の鳴るようなかわいらしい声で。
「……侑心!」
木林くんの名を呼んで見せた篠田先輩の彼女、楓さん。
……どうして木林くんのことを知ってるんだろう。
しかも、"侑心"なんて親しげに。