甘々王子にユウワクされて。
「あ、あの」
もしかして知り合いだったかな、と思って、思い出すように相手をじっと見るけれどやっぱり知らない顔。
止まることなく、一歩一歩近づいてくる。
「……あのっ!」
切羽詰ったわたしの声が聞こえたのか、あと一歩で触れられるくらいの距離でようやくはっとしたように歩みを止めた彼。
「ん?」
「……っ!」
かがんで目を覗き込まれる。
150ないくらいのわたしの身長は、彼にはあまりに低すぎたみたい。
で、でも、あまりに……近い。
そして、
「キミ誰? てか、なんかミニサイズなんだけど」
さっきの憂いだ目はどこに行ったのか、わたしを馬鹿にしたような顔で、信じられない発言をした。
かぁぁっと顔に熱が集中するのがわかる。
教室中からの視線も気にならないくらいに、ふつふつと怒りの感情が湧き上がる。