甘々王子にユウワクされて。
女の子たちの視線に気づいてはいたけれど、笑って「また明日」と返した。
さぁわたしも……部活に行かなくちゃ。
そう思って、かばんを肩に掛けたとき。
「……おい、佐久間」
今度は左隣から声をかけられた。
メガネの奥から覗く、鋭く冷たい目。
進級初日以来まったく口をきいていなかった、高槻くん。
「……なん、ですか?」
鞄を半分おろして彼に向きあう。
睨むような眼に一瞬ひるみそうになる。
彼は表情を変えることなく言う。
「……俺言ったよな、侑心と関わるなって」
以前もらった手紙の内容。
低い声で言われて思わず怯えてしまう。