甘々王子にユウワクされて。
「……ありがとう」
笑顔を向けられると、やっぱりまだ胸がきゅんとするけれど。
きっとそのうち……慣れるよね。
「それじゃあ……わたしも描いてきますね。
聞いてくれてありがとうございました!」
「うん。行ってらっしゃい」
鞄をもちなおして、先輩に見送られて図書室を出る。
からからと心地いいドアの音。
……さよなら、先輩に恋してたわたし。
これからあなたは、もっといろんな感情を持って、いつかは恋をしなければならない。
でも怖がらなくても大丈夫、それに気づかせてくれた人がいるでしょう?
古いドアが立てる音を聞きながら、静かにそう思っていた。
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