甘々王子にユウワクされて。


そっか。


わたしは木林くんと一緒にいちゃいけないんだ。


木林くんにとって害なんだ。



じくりと胸が痛んだ。


高槻くんの言葉が突き刺さる。




そう思っていたら、つい腕の力が抜けて。


肩から滑り落ちた鞄が大きな音を立てて落下した。


たくさんのペンや紙が散らばる。



「……誰かいるの?」



うわ、楓さんに不審がられちゃった。


大慌てで荷物を適当に鞄に突っ込み、階段を駆け降りる。


ドアを開ける音が聞こえたときにはもう見えないところまで来れたから、きっとわたしの存在はばれていない。




……わたしは木林くんといちゃいけない。



乱れた呼吸を整えながら、ただそれだけを反芻していた。



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