甘々王子にユウワクされて。
クラスの人たちが遠巻きにわたしを見ているのがわかる。
えぇ、わたしだって今の自分はとても滑稽だと思いますよ。
でも、それは全部あいつが悪いんじゃん!
そう思って、全力で彼を睨んだとき。
「侑心。お前らうるさいんだけど」
わたしからして、彼の向こう側。
わたしの左隣の席にあたるところから、低い男子の声がした。
「ん、何晃斗、お前も話す? 昨日のテレビの……」
「冗談だろ。そんな人工的な花の匂いさせるような奴らと。吐き気がする」
冷たい言葉ばかりの彼。
だけど、わたしのところからはよく見えないけれど、ルックスはかなりいいらしくて、
暴言を吐かれたといっても過言ではない女の子たちも小声でかっこいいと騒いでいる。
いやもしかしたら、彼女たちのいかにも軽そうな頭では嫌味に気づいていないのかもしれないけれど。