甘々王子にユウワクされて。
「だって佐久間さん。男の子と話してる時間あるんでしょー?
ならやってよ、あたしたち忙しいんだよねー」
下品な笑いが教室中で広がる。
「いやでも、佐久間さん文芸部でしょ? 部のほうも活動あるから忙しいよね……?」
坂場さんに怯えたように、でも教師としての責任からか、わたしが逃げる機会を作ってくれる先生。
だめだ、頼れる人なんていない。
……あきらめるしかないか。
「わかりました。わたしやります」
「さっすが佐久間さん!」
「男子はじゃあ、久保谷がいいよ! お似合いだって!」
わたしが言うと、一気に教室が騒がしくなる。
そして無関係な、少しおとなしいタイプの久保谷くんまで引き出されてしまった。
地味めな彼はどうしても、派手な彼女たちのおもちゃになってしまっている。