甘々王子にユウワクされて。
「じ、じゃあ……久保谷くんと佐久間さんに頼んでもいいかな?」
近森先生は騒がしくなってしまったクラスにびくびくしながら、早くこの空気を収めたいのか、そう聞いてくる。
どうしよう、わたしはいいけど久保谷くんは……。
そう思って、どうしたらいいか迷っていたとき。
「せんせー。男子のほう俺やるよ。実行委員」
右隣から声が聞こえた。
驚いてそちらを見ると、肘から上だけだるそうに挙手をしていた木林くん。
明らかに教室の空気が不穏になる。
「俺去年もやったんだよ。めっちゃ大変だから!
久保っちみたいな細うでにはとても無理」
笑って、自分の腕を叩きながら言う彼。
冗談めかして、勝ち誇ったような顔を久保谷くんに向ける。
久保谷くんは困ったような顔をして笑い返した。