how to love
SHRが終わり、帰ろうとしたとき、教室に一気に見知らぬ人がきた。
「転校生、どれ?」
みんなの視線が私に向けられる。
またなにか言われるのかな。
「部活はいってくれない?」
かなりの人数の人が口を揃えていった。
「ちょっと待ってください!こいつ喋れないんで俺が通訳します」
楓が敬語ってことは先輩なのかな?
「体育でバスケやったときすごかったって色んな子からきいて!はいってくれないかな?」
「いや、ハンド部どーかな?あんまりやったことないと思うからやってみたくない?」
「いやいや、サッカー部のマネージャーはどう?君みたいな子ならすごくいいマネージャーさんになりそうだし、みんな喜ぶよ!」
楓が大変そうに通訳してくれた。
「あの、先輩方俺も訳すの大変なんで一気に喋らないでください」
「あ、ごめんごめん。で、どーかな?」
『私、前の学校でダンス部だったんです。でも、顧問の先生が変わってから喋れないことをすごくばかにされて、だからコミュニケーションが取れないんだって言われて退部させられたんです。だから、部活入ってもまた同じこと起きるだろうし、迷惑かけたくないんでごめんなさい』
私の手話を楓が訳してくれた。
「そんなひどい先生いるんだ」
「もし、また部活やりたいって思ったらぜひ、きてね!」
みんなそう言って帰っていった。
いい先輩たちだ。
「流莉亜ちゃんダンスやってたの?」
飛斗くんの問いに頷く私。
「かっこいーな!知ってた?この学校にもダンス部あるんだよ」
「男子しか入れないけどな」
唯翔くんが飛斗くんの言葉につっこんだ。
「そういえば朝、大丈夫だった?」
『うん、大丈夫だよ』
私が手話をしても楓が訳してくれる。楓がいてよかった。
「流莉亜ちゃん強いよね~。他の女子はあいつらにあーやって言われたらトイレからでてこないかんね」
「でも俺的には飛斗が助けるとは思わなかったよ?」
「俺優しいからさ」
ドヤ顔をしていう飛斗くん。
「俺、そろそろ帰んなきゃ」
唯翔くんが時計を見てそういう。
「俺らも帰るか」
私も4人に続いて帰ることにした。
歩いているとき楓はずっと車道側に立ってくれていた。
私の耳が聞こえづらくなっていることを知っているかのように。
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