恋とは停電した世界のようです
「その…正直まだよく分からなくて」
「でも可愛くなりたいって思ったんじゃないの?」
それって自分のためなの。
相手にそう思ってほしいからなの?
彼女の問いかけに、
一瞬だけ息が詰まった
「…それは、」
目の前のカラフルなテスターも、自分の答えも選べないでいると
「まぁ、どっちでもいいんだけどさ」と、あかるい声が降ってきて
「最初に使うなら、こっちの方がいいんじゃない?
あと麻友子は色白いから、チークは絶対ぴんく!」
「あ、うん。じゃぁそうしてみる」
「使い方は、あとから説明するから」
「ありがと」
「次はグロスね。あっちのコーナー行こっ」
深く追求するわけでもない彼女に感謝して
ほらほら、と急かされるまま
オレンジとピンクの混じるグロスを手に取った。