【続】Am I What Colors?ー現姫の戦いー
俺が住むマンションにつくと、沙奈が何故か「あ」と言った。
「何だよ、『あ』って」
「あ……な、何でもない」
誤魔化すように笑い、沙奈は俺の手を引いた。
……立場逆じゃね?
そんな俺に構わず、沙奈は慣れた様子でエレベーターに乗り込む。
「蓮央くんの部屋って、何階?」
「27階」
「27階って……最上階!?じゃあ蓮央くん、財務大臣の息子……!?」
「そうだけど」
「そ、そうなんだ……」
よく俺が財務大臣の息子って知ってるな。
世間にも隠してるから、分からねぇはずなんだけど。
沙奈は「最上階、最上階♪」とはしゃぎながら、上昇していくエレベーターに乗っている。
ガキみてぇなやつ。
フッと鼻で笑うと、沙奈が目を輝かせた。
「蓮央くん、今笑った!?」
「笑ってねぇ。バカにしただけ」
「それでもいいよ、カッコイイ!!もっかいやって、蓮央くんになら馬鹿にされたっていい!!」
「馬鹿か」
変態じみたことを言い出した沙奈に引いていると、エレベーターが最上階に到着した。