【続】Am I What Colors?ー現姫の戦いー
ハゲ男と沢口啓明が角を曲がると、私もそっと足を踏み出した。
カツンと微かに鳴った音で、自分がヒールを履いていたのを思い出す。
脱がないと、バレちゃう。
靴を脱いで手に持つと、抜き足差し足で2人の後を追う。
私が歩いて来たのと同じ真っ直ぐな廊下を進み、2人はそれぞれ別の方向に進んだ。
ハゲ男はさっきのVIPルームに、そして沢口啓明はとある部屋に。
ちなみに一応言っておくけれど、私はハゲ男には興味がない。
知りたいのは、沢口啓明のこと。
なんだかスパイになっている気分で、『秘密捜査』をしているみたいだ。
楽しくなってきた。
物陰に隠れ、沢口啓明が部屋の中から出てくるのを待つ。
だって、今入ったら思い切りバレるし。