【続】Am I What Colors?ー現姫の戦いー
ようやく唇が離れたかと思ったら、沢口啓明は手にあるものを持っていた。
ルビーのついた、ブローチ。
私がしていたものだ。
いつの間にか胸から無くなっていた。
あれにはマイクとカメラがついてるのに……!
「…や、返してっ!」
「そんなに大事?これ、ただのガラスなのに」
取り返そうとする私をよけながら、器用に私の両手首を片手だけで拘束した。
「離せっ……!」
「お断り。大人しくしてろよ?」
言いながら、沢口啓明はそのブローチを丹念に調べ始める。
まずい、バレるっ!!
……そう思った時には、遅かった。
「ん、これカメラか。…いや、マイクもついてやがるな。今は切ってあるみたいだけど……。何、これ?」
こちらを見てニヤリと笑う沢口啓明。
私は何も答えない。
きっとこの男は、分かってるから。
私が誰で、何をしに来たのか。