【続】Am I What Colors?ー現姫の戦いー
「北苑……対睡嵐用のって、何?どういうこと?」
「……悪い」
「…悪いって、何?なんで謝るの。おかしいよ、だって……」
北苑の方に歩いていこうとすると、沢口啓明に引き戻される。
私の顔を覗き込み、沢口啓明は少しだけ目を見開いた。
「……お前、もしかして噂の『睡嵐姫』かよ?」
ドクンと心臓が鳴る。
睡嵐姫って、睡嵐の姫ってことだよね……?
正体が、バレた……!
「あ、やっぱりそうだ。じゃあ、お前がここに来たのは、若沢組を調べるためか……。くく、面白い展開になってきたぞ」
沢口啓明はおかしそうに笑った後、粉々になったブローチをまた踏みつける。
そして私を引き寄せ、ニヤリと気味悪く笑って言った。
「馬鹿なお姫様に教えてやるよ。アンタは、俺たちの罠に見事ハマったんだ」
「……え…?」
頭が真っ白になる。
罠……!?
「海利は俺の下で、若木諒真を探す仕事をしてる。あの男を見つけ出して連れてくるのが、海利の役目。そのために、こういう機械を作ってんだ。
……幹部のオヤジたちに女を運ぶ役なんて、任されてねぇんだ」
沢口啓明の冷たい視線が、私をとらえて離さない。
北苑は、私たちを……諒真さんを、狙ってた?
そのために、若沢組に手を貸していたの?
ドクン、ドクンと、私の鼓動だけが頭に響いている。
「そんな海利がお前を連れてきた。なんか怪しいと思ってたんだよ、一目見た時から……な」
冷たすぎるその声色に、ゾクッと寒気が走った。