【続】Am I What Colors?ー現姫の戦いー
顔を上げて、目の前の茶髪男を見る。
彼の名前は、沢口啓明。
『沢口』啓明……
これって、単なる偶然?
それとも、まさか・・・
私の視線に気づいたのか、沢口啓明は微かに笑った。
「……やっと気付いた?そう、俺は沢口啓明。諒真の母親、沢口桜の……もう一人の息子なんだよ」
ドクンッ……
悪い予想が当たり、心臓が大きく鳴った。
諒真さんのお母さんの、もう一人の息子?
もう一人の……?
頭が働かなくて、沢口啓明に尋ねた。
「『もう一人の』って、どういう……?」
「考えりゃ、分かるだろ。あの写真も見たんだし」
脳裏に蘇る、写真の中の風景。
写っているのは、幸せそうな夫婦。
そして……2人の、男の子。
あれは、諒真さんと沢口啓明だった。
それが示すものは……何?
「……俺はな」
伏せていた目を上げ、沢口啓明は言った。