【続】Am I What Colors?ー現姫の戦いー
「諒真の…兄だ」
「………え?」
諒真さんの……兄?
沢口啓明が?
そんなわけ、ない!!
「うそ…!だって、諒真さんは1人息子って……」
「表向きは、な。俺は、正真正銘の、息子じゃないから」
「正真正銘の息子じゃ、ない……?」
その言葉は、何を意味しているの?
何だか怖くなる。
私が知ってはいけないことが、隠されているような気がして。
「母さん…沢口桜が組長と結婚する前の男の子供なんだよ、俺は」
「え……」
「だから世間には、組長の息子は1人ってことにしてある。
……でも考えてみろよ?アイツが跡取りだぞ?この業界の」
ハハッと笑い、長い足を組む沢口啓明。
「あんな適当で軽い男がこの若沢を継ぐ?ふざけんな。アイツにくれてやる地位なんてねぇんだよ」
そうの言葉の端々に、怒りや憎しみが紛れていて。
そっか……
今分かった。
得体のしれない、あの恐怖の正体。
あれは、沢口啓明の……闇に染まった心だ。