【続】Am I What Colors?ー現姫の戦いー
「やだ、触るな!」
「うるせぇな……少し黙ってろ」
言いながらスマホを取り出し、どこかに電話をかけはじめる。
いったい何考えてるの、この男……
誰かが電話口に出たら、思いっきり叫んでやる。
心の中でそう企み、じっと待つ。
少しの静寂。
かすかに聞こえるコール音だけが室内に響いている。
──プルル……プルル……
『……何だ?』
誰かが、出た。
沢口啓明が口を開いて何か言おうとしたのを遮り、電話口に向かって叫ぶ。
「離せ、離せっ!!ぃやだぁぁっ!!!」
叫びながらバタバタもがいていると、沢口啓明が小さく笑った。
そして、電話をしている相手に向かって何かを話す。
「……今こんな感じなんすけど、どうすか?」
『声しか聞いてねぇしな。でも、あれだろ、睡嵐姫だろ?』
聞こえてくる会話。
『睡嵐姫』という単語に反応し、私は叫ぶのをやめた。
私の話を、しているの……?