【続】Am I What Colors?ー現姫の戦いー
「若木諒真」
沢口啓明が、静かに口を開く。
その場の明るい雰囲気が、一気に固くなった。
名前を呼ばれた諒真さんは少し振り向き、沢口啓明に顔を向ける。
「……よぅ、兄さん。久しぶり」
「俺を兄呼ばわりするな」
「相変わらずひでぇな!俺、仮にも弟だぜ?」
「弟だなんて思ったことは一度もない」
引き攣った笑いを浮かべる諒真を、無表情で切り捨てる沢口啓明。
さっきより纏うオーラが黒い気がするのは、気のせい…?
「兄さんは相変わらずすごいなー。この組を纏めてんすから。俺より絶対組長に向いてる」
「当たり前だ。お前なんかにはやらねぇ」
殺気と敵対心を剥き出しにして、沢口啓明は諒真さんに突っかかってくる。
ひどく刺々しい言い方で。
沢口啓明は、さらに諒真さんを追い詰めていく。
「諒真……お前を今すぐ殺してやる」
「んなことしたら親父に殺されるのはアンタだ」
「そうかもな。でもお前を殺せるなら、こんな命くれてやるよ」
ニヤリと、沢口啓明が笑ったとき。