【続】Am I What Colors?ー現姫の戦いー
「そこまでだ、啓明」
ドスの効いた低い声が、室内に響きわたった。
沢口啓明と諒真さんの肩がビクリと揺れる。
凍る空気。
見なくても分かる。
この威圧感、殺気、そして威厳。
後ろから歩いてくるその人物は、きっと……
「若沢組組長として、この場での殺しは許さん」
諒真さんの…お父さん。
白髪の混じった黒い髪を長く伸ばし、黒いスーツを着こなしている。
一見どこにでもいる紳士って感じだけれど……言葉を発せないほどの威圧感が、常人ではないことを証明している。
「ッ親父……今日は帰らないんじゃ!?」
「何を勘違いしている?」
慌て出す沢口啓明を一瞥し、諒真さんのお父さんは私たちの横を通り過ぎて歩いていく。
まるで、私たちが存在しないみたいに。