【続】Am I What Colors?ー現姫の戦いー
突き出している拳の軌道を少し変え、奈緒を頬を掠めて止めた。
奈緒が、静かに瞼を開ける。
「何で…?止めないで、下さい…」
「だって、殴る理由ないから」
「え…?でも、さっきは…」
不思議そうな顔をする奈緒。
そんな彼女に、にこりと笑いかけた。
「…うん。大嫌い、だったよ?」
嫌いだったのは本音。
許せなかったのも、本音。
でも...
「…憎しみからは、何も生まれないって分かったから」
震える奈緒の手を、そっと握る。
「奈緒。奈緒が、私に向き合ってくれただけで嬉しいよ。ちゃんと言ってくれて、ありがとう」