【続】Am I What Colors?ー現姫の戦いー
変態男はスッと手を上げて前に伸ばし、人差し指で私を指した。
「…お前だ、睡嵐姫」
「「はぁ?」」
私と蓮央の声が重なる。
皆も、沢口啓明までもが、口をあんぐりと開けている。
「せ、聖夜さん?その女を相手に?」
「なんか文句あるか?」
はい、文句大ありですけど。
「私、アンタみたいな変態野郎とやりたくない」
「俺はお前とやりたいぞ?最強と呼ばれる睡嵐姫の喧嘩を見せてもらいたい」
私に向かって不敵に微笑む変態男。
何なの、こいつは。
ほんとムカつく、こういう奴。
殺ってしまいたくなる。
「……分かった。やるよ」
「お、さすが」
パチパチと手を叩く変態男を横目に、蓮央の手をさらに握りしめる。
蓮央は不安げに私を見つめ、グイッと私の頭を引き寄せた。
「咲誇…」
「大丈夫だよ、蓮央。あんな変態男には絶対負けない」
「…ちょっと耳かせ」
軽くかがみ込んで私の耳に口を寄せ、蓮央は私に小声で耳打ちをする。
その言葉に、思わず耳を疑った。
「……嘘、それ、本当?」
「あぁ。だから絶対に、死ぬな」
「……うん」
そんなことを言われたら、ますます負けられないよ、蓮央。
「話は纏まったか?そろそろやりてぇんだけど」
トントンとつま先で床を叩きながら、変態男が急かしてくる。
蓮央の手をもう一度握って「大丈夫」と呟き、私は一歩足を踏み出した。