【続】Am I What Colors?ー現姫の戦いー
「待て、蓮央。挑発に乗るな」
「乗ってねぇ。離せよ」
「仮にこの男がお前を殺しても、咲誇を殺さない保証はない。……いや、おおかた、お前を殺してから咲誇を殺す気だ。そうだろ?組長」
と、圭太が言うと、組長はクツクツと笑った。
「…その男は頭が切れるな。バレていたか」
そして蓮央から目線を外し、銃口をまた私の方に向ける。
「や、やめろ、親父っ!!」
「動くなよ、諒真。動けば狙いが外れる」
向けられる銃口をじっと見つめていると、ある事を思い出した。
──『銃弾は避けることが出来るんだ』
そう言っていたのは確か、父であるあの男。
政治家で、ヤクザを潰そうと働きかけていたあの男は、ヤクザたちに狙われることが多々あった。
あれは、私が10歳くらいのときだろうか。
『パパ、拳銃怖くないの?』
好奇心から、拳銃のことについて詳しく聞かせてもらったことがあった。
『怖くないぞ。避けようと思えば避けられるからな』
『どうやるの?』
『うーん…。もしも相手が変わった形の銃を持っていたら諦めるべきだ。ライフルやマシンガンにはさすがに敵わないからな』
そこまで思い出し、組長の持っている銃を確認する。
あれはマシンガンでもライフルでもない。
『もし普通の拳銃なら、やるべきことは1つ。とにかく集中することだ』
『集中?』
『集中して、相手の指を見るんだ。引き金が引かれる直前に、回避する。……まぁ、咲誇がこれを使うことは無いだろうけどな』