【続】Am I What Colors?ー現姫の戦いー
「……その辺にしといてください、先輩」
パンッといい音がして、その拳を手のひらで止めたのは…歩だった。
渾身の一撃を止められたからか、諒真さんの目に苛立ちが宿る。
「歩…止めんな。この男を一発殴らねぇと気が済まねぇ」
「にしても、今の先輩は危険すぎる。
このまま…言いたいこと全部、言葉にすればいい」
「っ、……そんなんじゃ、許せねぇよ!!」
「それは分かってる。けど、ここで殴ったら、先輩もこのクズと同類になる。それだけは許しませんから」
凛とした、歩の言葉。
それに言葉を失った諒真さんは…
握った手にさらに力を入れて、歯をギリッと噛み締めた。
「……俺は、暇つぶしの道具じゃない」
「…はい」
ポツリと吐き出された諒真さんの言葉に、歩が頷く。
振り下ろされかけた拳は、握られたまま。
「自分で生きる道を選ぶ権利くらい、ある」
「はい」
「俺の仲間は、クズなんかじゃねぇ。
世界中のどこを探しても見つかんねぇ、最高の仲間だ」
「はい……って、これ俺が言っていいんすかね」
「んで、最後に言いたいことが1つ……」
伏せられていた諒真さんの目が上げられ、真っ直ぐに歩を見た。
「歩……」
「はい?」
諒真さんは大きく息を吸い、言った。