【続】Am I What Colors?ー現姫の戦いー
──そう、矢崎先生が好きな人は、男。
しかも……
「一目見た時から目が離せなかった。あんなに心惹かれたのは…あの青髪の青年が初めてです」
相手は、蓮央。
「やけに蓮央につっかかるなと思ってたんですけど、それって……」
「『好きな子ほど虐めたくなる』ってやつですよ」
「あは、は……」
平然と言ってのける矢崎先生に、乾いた笑いしか起こらない。
まさか、新たな恋敵がオトコノヒトだなんて。
『諦めるつもりはありません』
矢崎先生のその言葉が頭から離れず、不安で胸が苦しくなる。
「…先生は、本気で蓮央を……?」
「まぁ、淡い恋だと思いますけどね。不毛な恋に本気にはなりません」
切なげに微笑みながら、先生は検温、傷の確認など、検診を進めていく。
良かった……
先生は、蓮央を本気で狙うわけではないみたい。
不謹慎だけど、安心してしまった。
「……でも」
「え?」
思わず聞き返すと、矢崎先生は眼鏡を外して妖しく笑った。
「私の気持ちを知って困惑する彼の顔も、見てみたいですね」
「・・・」
本当に楽しげに微笑む矢崎先生に、私はもう何も言えなかった。