青空に、思いを
 私は、3時間目の授業中、こっそり葵と文通していた。



『葵はすごいよね。あんた、明日から遥にいじめられるかもしれないのにいいの?』


『佐藤さんからメモが来るなんて珍しいね。僕はいじめられてもいいよ。絶対に負けないし、いつか金山さんを説得させるんだ。』


『ホント、勇気があるね。私も葵みたいに強くなりたいな。』




 私、なんでこんなこと書いてるんだろ。



 葵に何か変なこと言われるかなって思ったけど、返事はそうじゃなかった。


『僕は強くなんてないよ。でも、佐藤さんは絶対なれるよ、強い人に。僕は強くなった佐藤さんを見てみたい。』



 強くなった佐藤さんを見てみたい、か・・・。



 強くなるって言っても、簡単なことじゃないよね。




 今からでも、強くなれるかも。




 さっきの葵みたいに、いじめはダメって言える?




 見て見ぬ振りしないで、いじめに立ち向かえる?




 私は、葵にこう書いた。



『ありがと。私、次にいじめを見つけたら頑張って言ってみようと思う。そんなのよくないって。』



 返事はすぐに返ってきた。



『うん、そうだね。・・・そういえばさ、佐藤さんって結構ツンツンしてると思ったんだけどそうじゃないんだね。佐藤さん、本当は優しいじゃん。』




 え、優しいって・・・。そうなのかな?



 でも、私は変われると思った。




 強くて、優しい人へ。






 
< 6 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop