青空に、思いを
 私はまだ流れっぱなしになっているホースの水を止めて、あゆみに近寄った。


「大丈夫?」


「うん、でも佐藤さんがずぶ濡れだよ。風邪ひいちゃうよ」


「私は大丈夫だって!ほら、そろそろ気温上がってきたしさ。涼しいっていうか・・・」



 私がそう言うと、あゆみはふふっと笑った。



 つられて私も笑ってしまった。



 その時、ちょうどチャイムが鳴った。



「あ、佐藤さん。授業行かなきゃ怒られちゃうよ」



 確かに怒られるけど今から行っても間に合わないなぁ。



 次の時間は社会だった気がする。



 ・・・社会!?


「ねぇ、次社会だよね?お説教が怖くなってきた・・・」



 あゆみは少し怖がっているみたい。



 まぁ、そりゃそうか。



 私のクラスの社会担当は、56歳のベテラン先生、吉岡先生。



 入学式の1週間後くらいに学力テストがあったんだけど、私のクラスで男子が寝ているのを見つけて怒り、近くにあったイスを蹴とばしたのだ。


 さらに、扉も蹴って外したし、机も壊した。



「お前らまだ1年生だろう!?テスト中に寝るとはどういうことだ!」って怒鳴っていたっけ。


 テストが終わると、私の教室の前の廊下はすごいほどの人だかりができていた。



 



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