映画
わああああ隣に悠里くんが座ってるよぉぉ!!
頭の中は最早パンク寸前です。
心の底からここが暗くて良かったと安堵しました。
まぁその数十分後には激しく後悔するのですが。
そして、映画が始まります。
その怖いことといったら。
ほら、ホラーとかって幽霊なんかが表れるときは決まってばんっ!みたいな音が鳴るじゃないですか。
その度に情けなく悲鳴を漏らしてしまいまして。
何でこんなに暗いの!?
明るかったからよかったのに!!
と、頭の中で喚いてました。
もう駄目だと悟り、顔を伏せるも耳から音楽が入ってきて本当に怖いんです。
手で耳を塞いでると、ふと耳を覆っている手に何かが触れたのです。
悲鳴をあげる寸前でした。
……いいえ、悲鳴をあげていました。
すると、焦ったように口を塞いでくるからもうパニック状態。
一生懸命に抵抗していると、唯花、唯花、俺だよ。悠里。なんて、耳元で聞こえてきたのです。
途端、体が固まってしまいました。
あ、唯花とは私の仮の名前です。
その変化に、悠里くんが首を軽く傾げました。
キュンッと心臓が高鳴ったのが分かりました。
涙目だよ。そんなに怖い?
そう、優しく聞いてくれて、思わず頷いてしまい。