守られるのは卒業よ!
結局、カナビスのできる技能の多さに驚いて、マリカはカナビスと付き合うことを了解した。





夜・・・スウェルの部屋で。


「な、なんだってぇ!!マリカとプライベート時間をいっしょに・・・って!
どういうことなんだ、カナビス!!」


「だからそういうこと。
剣術は君が教えるってことだから、プライベートタイムは私とデートしてみるってことになっちゃったわけです。」


「君は、また彼女をペテンにかけたんだね。」


「人聞きの悪いこと言わないでくださいよ。
彼女はまだ、ときめきを知らないんです。
そういうことを気づかせてあげるのも、愛の伝道師である私の役目です。」


「誰が愛の伝道師だってぇ?
まぁ、君が人の気持ちを誘導するのがうまいことも認めるが・・・マリカを悲しませるようなことだけは、やめてあげてほしい。」


「しないよ。
いや、悲しんでしまったら、スウェルが慰めてあげればいいじゃない。」


「それは・・・無理だよ。
彼女は私を毛嫌いしてる。
敵なんだから仕方がないし、見ていればわかるだろ。
おどおどして、私を前にしてどうしたらいいか、何を言ったらいいのか・・・とても困っている。
だんだん、かわいそうになってきたくらいだ。」



「おや、あなたも女心が理解できずに悩むとは・・・案外、晩生だったわけだ。ははは。」



「カナビス!!愚弄する気か?」


「おお、こわっ!
ご心配には及びません。
私はみんなに幸せな気持ちになってほしいだけです。

それができないなら、軍など率いることはできません。
皆が私を信頼してくれることこそが、強さになりますからね。」


「ほんとに・・・君の心は私にはわからないよ。
ただ、ひたすらに尊敬できる人物だということしか理解できない。」


「とても私には、誇らしいほめ言葉だ。ふふふ。」




しかし、翌朝になってみると、マリカは素直にスウェルの前に稽古着に着替えて頭を下げていた。



「おはよう・・・。どうした?
けさは、やけに行儀がいいな。
では、始めるぞ。」


「あの・・・どうして、剣の稽古のはじめにそんな私の前で手をかざすのですか?」



「少し待て。待てばすぐにわかる。
稽古をつけるのは、そのあとだ。
君の苦手なところは、思うように技がかけられない、持久戦は命取りだということだろう。」



「あっ!!!軽い・・・うそっ・・・これは魔法で?」


「ああ、君には自分にあった武器で戦ってもらうのがいちばんいいと思うし、それが一番味方の背中を守ることになる。
よし、そろそろいいだろう。
ライダルの作った剣に俺の魔法力を封じ込めた。
これが、君の新しい剣だよ。

さて、練習課題に入ろうか。」
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