守られるのは卒業よ!
マリカはハリッシュといっしょに実の父であろうナギンの元へと向かっているということ。

ナギンは自分で長距離移動はできない体であること。

ハリッシュにナギンに会うまで魔法を習うこと。

自分には防御魔法ができる実力が隠れていたこと。

スウェルに心配しなくていいからいつもと同じお仕事をして待っていてほしいと文章を結んだ。



「よし、目を閉じて・・・今書いた手紙を頭の中にイメージするんだ。
君の場合、防御機能のせいで手紙を破損してしまう可能性があるから、コピーを用意した。
安心して失敗してもいいよ。

イメージできたら送る相手の顔をイメージして。
そいつのもとにたどり着け・・・と強く思うんだ。
そして、君は女性だから、胸の前に手をやって野の花を相手に差し出すように手紙を送り出せ!」



「スウェルをイメージして・・・野の花をあげる・・・ほらっ!」



ボン!!ぼぉ~~~~~!


「うわぁ!!!やっぱり防御がぁ!!!
あちちち。消えろ・・・あつっ!」


「あちゃぁ・・・失敗だわ。燃えちゃった。
ハリッシュっていい勘してるわね。」



「あはははは、まあね。
君の体にはナギンの娘を思う気持ちがいっぱい詰まっているということだ。
さあ、要領はわかったよね、次行ってみようか。
練習、練習!」


「はい、師匠。がんばります!」


結局、マリカは5度目にしてやっとスウェルへと手紙を運ぶことに成功した。


そして程なく、スウェルから返事が届いた。


「すごぉい!もう返事がきたわ。
えっと・・・なになに。」



『マリカへ・・・君がナギンの娘だというのはわかっていましたが、まさか防御魔法や魔法の才能が眠っているとはわからなかった。
ハリッシュという男は信用にたりる男だったようだね。

でも独り身の男には気をつけてほしいな。心配だよ。
それに、俺もナギンには会いたいと思っていた。
会えたら今回みたいな魔法で手紙を送ってくれないか。
今すぐ君のところに行きたいが、仕事が今は忙しくて長期で出ることができないんだ。

今度会うときには、君の魔法の上達を俺がお相手して確かめさせてもらうからね。
手紙ありがとう。
また、待ってるよ。
とにかく、ハリッシュは師として過ごして魔法に精進するように。


スウェル&カナビス』



「うーーむ、こいつらも俺のことを変質者みたいに思ってるようだな。」


「仕方ないじゃない。私を誘拐したんだから。」


「まぁそうだけど・・・。じゃ、そろそろ腹ごしらえでも行こうか。
それと、俺と移動中これを・・・。」


「これ?コンパクト?私はこういうお化粧なんて。」


「ただのコンパクトじゃない。
これには俺の魔力を少し隠してあるんだ。
もし、誰かにまた誘拐されたとか、その場を脱出しなければならない目にあったとき、それを使うといい。
自分の姿を鏡に映して、俺の名前を言え。
そしたら、俺のところに君は飛んでくる。」


「へぇ、すごい。私もこんなアイテム作れるようになるかなぁ。」


「いずれはね・・・そのときは父上に習うといい。」


「うん、そうよね。ありがと・・・ハリィ。」


「はぁ?ハリィって・・・まあいいや、君が呼びやすいのならね。」
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