守られるのは卒業よ!
アリシュレアを訪ねたマリカは秘書の女性から今日の予定をきくことになった。


「私はアリシュレア様の秘書でサリーといいます。
今日は公務に皇太子ご夫妻でお出かけになっておられますので、私が仕事の要件について説明させていただきます。」


「はい!マリカです。よろしくお願いします。」


「まずは、リオレバ王立病院の代表薬師のバルース・ギルウェント氏のところに行ってください。
彼はシュウカウリでの薬草の採取の仕方やあなたの回復魔法にとても興味を持っておられます。

今日は、彼にあなたの持っているこの土地でのノウハウを教えていただければ仕事は完了ですので、その後は自由にお過ごしください。」


「わかりました。リオレバ王立病院は前のシュウカウリ中央病院のことですよね。」


「そうです。シュウカウリの医療従事者も働いています。
今は、けが人や病気の人が多いですので。」


「そうなんですか・・・じゃ、行ってきます。」



マリカは徒歩で病院まで出向いていった。
オーレアから人が死ぬ場所へは魔法を使っていってはいけないとうるさく言われたからだ。


「死んだ人をイメージすると黄泉の国に行ってしまう可能性があるからなんて・・・恐ろしいことだわ。」




そして、リオレバ王立病院の会議室で待っていたのは、バルース・ギルウェントだった。


「はじめまして。私がマリカ・エリードです。」


「バルースです。よく来てくださいました。
なんとなく目元がナギンさんによく似ておられますね。

ナギンさんにはちょくちょくお世話になっているんですが、彼からあなたのことをきいて、あなたが薬草を用意して医療魔法を使っているとききました。


そのやり方はあなた独自のものだそうですね。」


「ええ、回復魔法だけではかなりの魔力を消費しますし、魔法を使っている魔導士がひとりの患者でへばっていては多くの患者をみることはできませんから。」



「なるほど・・・・。興味深い話ですね。」


バルースは回復魔法と薬草との基本的な使用方法、重病やケガのときの処置など、実例をたくさんあげて、マリカに質問を投げかけるのだった。


そして、定期的に講習会を開く予定を組み、最後に今のシュウカウリの状況を話した。


「シュウカウリの原住民は基本的に魔法は使えません。
ですが、薬草の知識はとてもある。
逆に、リオレバは魔術重視だ。
それだと、あなたのおっしゃるとおり、回復魔法を使う側がぜんぜん足りない。

この両方の困った点をうまく補って効率のいい医療を行いたいと思っているんですよ。」


「そうですね。私でお役に立てるなら、何度でも足を運んで病気やケガで困っている方を助けたいと思います。」


「そういっていただけるとありがたい。
ところで、失礼だとは思いますが、現在あなたは19歳ですよね。」


「はい・・・。」

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