守られるのは卒業よ!
オーレアを欺いていて贅沢三昧をしていた同棲していた女は、自分のためのアクセサリーや預金など蓄えた書類を持ったまま以前から付き合っていた男の誘導でリオレバを出ようとしていた。

その情報をいち早く知ったオーレアの親友で税関で働いていたカリスは警察官の友人2人とで出国できないように先回りしたはずだった。

しかし、女を誘導したのは男ひとりではなく、複数いて3人は撃たれてけがをした。
とくにカリスは心臓1発で即死状態だったという。


「その後、逃亡を図ったやつらは、手配されて捕まったが、カリスの死でオーレアは女性を愛せなくなったらしいとね。
だけど、あなたにそれだけ心を許せるのなら、いい傾向なのかもしれませんね。」


「えっ・・・。(何もきいてないわ。ただ、懐かしい女の子が成長しててうれしいってだけ・・・。)」


マリカは何か納得できないと思いながら、その日は王立病院を後にした。



帰ると、もうリビングでニコニコ笑って待っているオーレアがいた。


「ねぇ、仕事は?
どうして、私の部屋のリビングにいるの?」


「仕事1日目のねぎらいさ。
王立病院はどうだった?
勉強もできるから、有意義に過ごせそうだろう?」


「あっ!オーレアの差し金だったというわけね。
薬師長が提案するには変だなぁって思ったわ。

院長でもないのにどうして・・・って。
あなたがもう今日の台本を渡してたってことなの?」


「で、勉強したくなった?
患者をみてどう思った?

助けたいと思わなかったかな?
ベッドは足りてると思った?」


「いえ、何もかも不足してる感じ。
魔法で早く治療して治せれば、ベッドもそんなになくてもやっていけると思ったけど。」


「うん、さすがだね。
皇太子妃の仕事は、君より向いている女性がたくさんいるけれど、病院は君しかできない仕事がいっぱいある。
それに、そのことや勉強してもらうことはもうアリシュレア様から許可をもらってる。

ってことで、明日から僕は君の上司となるわけだ。
よろしく・・・。」


「ちょ、ちょっと待ってよ。
でも、ここはアリシュレア様の使用人部屋です。
そこにこんなふうにやってこられるのは困ります。」


「ここは使用人部屋だが、君が住むのは僕の隠れ家さ。」


「どういうことなの?」


「こういうこと!」


パチン!と指をはじいたオーレアはマリカとともに、見たこともない大きなリビングに移動していた。


「あの、ここはどこなの?」


「だから、僕の家だって。」


「地名は何ていうの?ここはどこなの?」


「奈落の底でもないし、黄泉の国でもないよ。
ここは、君の邸から歩いて5分のところにある新しい邸さ。」


「えっ??外を見てもいい?」


「いいよ。」


マリカが部屋の窓をあけて外を眺めると、見たことのあるご近所の景色だ。


「どうなってるの?」
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