守られるのは卒業よ!
それから5日後、オーレアは痛み止めだけを主治医に処方してもらい、毒のサンプルを集めるために魔物たちがいるところに出向いていった。

皇太子の弟にあたるナサレ・ルオ・リオレバを隊長に、ナサレの側近のアギャン・ジラール・グレルが補佐し、魔法騎士であるスウェルも毒のサンプルをとるための狩りを始めた。



「ふぅ・・・いっぺんに3人はさすがにきつかったなぁ。」


「スウェル、魔法騎士の君が3人ごときで泣き言を言ってもらっちゃ困るんだが・・・。」


カナビスは体についた泥をはたきながらそう言った。


「すまん、カナビスは力技1本で百戦錬磨だったな。あははは。」


「おい、それじゃまるで、俺が力はあってもバカだって言ってるように聞こえるんだが?」


「いやいや、カナビスはいい男だよ。
剣の腕前には頭が下がるとしか言えないよ。」


「それを言ったらオーレンは剣は力が入らないから振れないって言いながら、剣から緑色の光線を飛ばしまくってたぞ!
あれは何だ?
やっぱりオーレンは人間ではないとか・・・。」


「カナビス・・・はぁ。
あれは剣に魔力を閉じ込めて敵に向かって放出する方法さ。
きっとオーレンはその場で敵にダメージを与える魔力が出せなくなっているんだろう。

最強のオーレンなら、剣に魔力を集めなくても、10人相手は軽々だ。
もちろん剣に魔力を集めることもあったけど・・・その場合は村1つ消えてたな。」


「げっ・・・マジか。
それにしても、このまま逝ってしまうには惜しい男だな。
おまえには都合がいいか。
マリカも帰って来られるし。」


「バカなことは言わないでくれ!
俺はオーレンには戦闘で戦っていてほしい。

それにマリカのことは・・・マリカはきっと自分で自分の将来を決めるだろう。
俺はそれを待つよ。

オーレンが毒から救われて元気になってマリカと結婚したら、たぶん俺は転属を皇太子殿下に申し出ると思う。」



「そっか・・・優しくてバカなやつ。」


「うるさい!俺は魔法の師匠であるオーレンを尊敬してるし、少々俺に冷たい言い方したのも本心ではないと思ってる。
ただ、あの人は・・・あの人の人生の中では決して人のぬくもりは得られなかったから、マリカにすがりたいと思ったんだろう・・・。」


「オーレンって素性がはっきりしないよな。
貴族ってわけでもなかったし。」


「オーレンはもともとは伯爵家の三男として生まれたらしいんだが、あの優秀すぎる魔力は彼だけが持っていたらしく、家族からも忌み嫌われるようになっていったらしいんだ。

そして、全寮制の学生生活を続けて、その後、王の命令で魔術学校に特待生として入った。
それからの彼は年齢さえ、不明で・・・見かけはアレだけど、誰も彼の本当の年齢を知らない。」


「げげっ!それじゃ、彼は人間じゃないのかも?」


< 48 / 64 >

この作品をシェア

pagetop